羽生さんは金属素材で暮らしの道具を製作する作家で、2014年の松本クラフトフェアに出展されている折に知り合って以来、雲ノ平の物作りに不可欠な存在になった。彼の作品は有機的な自然観や伝統工芸のエッセンス、幾何学的なインダストリアルデザインなどが心地よく折衷された独特の雰囲気を持っている。それは決して「「メルヘンチック」なイメージが先行したような「おしゃれアイテム」ではなく、普遍的な機能性や美しさが宿る質の高い道具たちでもある。毎年一、二品ずつ、木部に金属部を組みあわせたデザインの家具(LPプレーヤーラックや食卓、階段手摺など)の図面を僕が描き、羽生さんにその金属パーツにアレンジを加えて制作してもらうという流れで、共同制作を楽しんでいる。