Artist in Residence Program
at the Kumonodaira Mountain Hut
今年も雲ノ平山荘では、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムを開催します。
本プログラムは、「アートを通じて社会と自然環境の調和をデザインする試み」として2020年にスタートしました。各地で活動するアーティストたちが、北アルプスの最奥地にある雲ノ平山荘に滞在し、それぞれの内に潜む「自然」を描き出していきます。
これまでの6年間で、絵画、写真、彫刻、音楽、詩作、演劇、ダンス、バイオアート、講談、アニメーション、漫画など、多様な分野から計38名のアーティストを迎え、多彩な活動が展開されてきました。
私たちにとって「自然」とは何でしょうか。
今、世界は巨大な分断と紛争の火に覆われつつあります。
直接的な人道危機や環境問題の深刻化はもちろんのこと、戦火の拡大は複雑に絡み合う交易網を麻痺させ、人々の生存の前提とも言える社会インフラや政治・経済システムの存続さえ揺るがしています。
技術の発展が社会の繁栄をもたらす一方で、同じ技術が生態系を破壊し、土地と生活を切り離し、人間の身体や思考の許容力をこえたスピードで世界を撹拌するとき、私たちは改めて――ある種の幻想として――「自然」という言葉の意味を探し始めるのかもしれません。
このプログラムでは、アーティストたちが一個人として原生自然に遭遇し、身体性や直感を通して、雲ノ平という土地や、そこに連なる生命の営みに巻き込まれる中で、それぞれに異なる「自然」を見出していきます。
私たちと「自然」との出会いの段階から、世界のありようを捉え直す視点や感触を手繰り寄せていくこと――それが本プログラムの志向するところです。
これまでの参加アーティストたちが見出した「自然」は、過去3回開催した成果展において、まさに多様な感性の描き出す生態系として、私たちの前に立ち現れました。以下のアーカイブサイトも、ぜひご覧ください。
第1回成果展【 Diffusion of Nature2022 「自然」をめぐる視点 】
第2回成果展【 Diffusion of Nature2023 土と夢 】
第3回成果展【 Diffusion of Nature 2025 距離のゆらぎ 】
また、この春からは、アーティストの活動や作品に触れる機会を、展覧会や山荘内の展示に限らず、より日常的なものにしていくための新たな取り組みとして、
AIR参加アーティストの作品を販売するオンラインギャラリー【 KUMO gallery 】をオープンしました。
混迷を深める時代ですが、このような小さくとも確かな実践を積み重ねることで、私たちと世界とのあいだに、創造的な関係性が育まれる機運をともに作っていきたいと考えています。
みなさまのご応募をお待ちしております。
通常ならば長期滞在することが困難な北アルプスの最奥地にある雲ノ平の自然に浸って、新しい表現に挑戦してみてはいかがでしょうか?
自分で現地まで歩く能力は必要ですが、生活面は全てこちらでサポートします。
山をめぐる表現活動に、もっと多様性があっても良いのではないか?という思いがこの計画の根底にあります。
今、世界を見渡すと「自然との関係性」を見直そうという機運が、至る所に見受けられます。
環境危機や資源の枯渇、その背景にある資本主義の暴走、格差問題、情報化の混乱など、人類の繁栄そのものが自分達の危機でもあるという矛盾した状況の中で、「自然とは何か」という問いが、日増しに大きな疑問符になって突きつけられています。その問いに向き合うためにも、まずは足元にある自然に改めて目を向けることで、気付くことがあるのではないでしょうか。
日本の自然環境は世界の中でも指折りの豊かさを誇り、生物の多様性や景観の美しさの面でも非常に優れた特徴を持っています。また、江戸時代以前の日本は、木造建築文化や茶道、花道、陶芸や漆芸といった多彩な工芸など、豊かな自然の資源を生かした独自の文化で彩られていました。しかし、20世紀以降の近代化の流れの中で、古い文化は急速に放棄され、「殖産興業」に傾倒するあまり近代思想としての自然保護運動も根付かず、現在は自然生態系と人間社会の分断が著しい状況になってしまっています。
年間1000万人に迫る莫大な数の登山者が利用する北アルプスのような国立公園でさえ予算や人材が著しく欠乏し、自然保護のシステムがほとんど存在せず、社会に自然の価値や魅力を発信するべき学問や芸術の分野も低迷する中、各地で山は荒廃が進んでいます。
これも、アウトドアカルチャーが普遍的な文化、日常生活に根ざした自然観の領域まで根付いておらず、あくまでも「趣味」の一ジャンルとして扱われてきた弱さだと言えます。
この状況を打開するにはどうすれば良いでしょうか?
言論活動として問題提起が必要な一方で、同時に求められるのは、より豊かな想像力を持ち、文化としての懐を深めていくことなのではないかと私たちは考えています。
それは、経済の発展が自然環境や生活を破壊し、一方で自然保護派は現代社会を全否定する、という対立の連鎖ではなく、山と街、歴史と現代、生活や産業を緩やかなグラデーションでつなぎ合わせ、高次元に調和した環境を社会のデザインとして生み出すことです。
都会の喧騒を逃れて山を訪れるだけではなく、山で育んだイメージを都市の創造性に還元し、日常的により多くの人々が自然の価値について考える機会を作ることで、自然環境と都市空間の分断を解消していく。
経済活動と自然環境は必ずしも矛盾するものではありません。むしろ持続可能な経済とは、人の幸福感や身体性を伴った感受性、世界の美しさを抜きにして語れるものではないはずです。
こうしたことを理屈抜きに証明するためにこそ、芸術表現の発展は不可欠なのです。
夜、雲ノ平の平原にたって目を閉じれば、そばにあるのは、空と大地だけ。街灯りはなく、あたりは山々の影が冷厳とそびえ、谷底からは太古の昔と変わらない黒部川の沢の音がかすかに聴こえてくる。夜明けには、鳥たちのさえずりが薄明の中新しい一日の到来を告げ、日の出とともに湧き上がる谷風は花々をそっと揺り起こす…
雲ノ平はあるがままの自然のエッセンスを表現者の精神に取り込むのに、この上ない環境だと言えるでしょう。
自然の存在は、あらゆる芸術の根源的な衝動を孕んでいます。
無限の色彩、大地の豊穣、圧倒的な破壊をもたらす地殻変動、死と再生の森。そのダイナミズムは古代文明の呪術的な宗教美術からコンテンポラリーアート、生活の道具から商業デザイン、念仏からクラシック音楽、パンクロックに至るまで、全ての芸術活動を内包していると言っても過言ではありません。
人と自然の触れ合うところに常に、アートは生まれてきたのです。
山小屋が、人と自然の新しい関係性を創造する基地として、最大限生かされるためにはどうすれば良いのか。その想いから今回の「雲ノ平山荘アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」は生まれました。
こうした小さな一歩が、私たちが生きる世界に対する理解を深める手がかりとなり、手詰まり感のある国立公園問題や、アウトドアカルチャーの可能性にとっても、ポジティブな刺激になることを願っています。
絵画、写真、グラフィックアート、建築、文学など、あらゆる分野の表現が対象となります。
もちろん「明るくて優しい」表現である必要もなく、暗く激しい表現も歓迎します。
雲ノ平の自然から、みなさんなりの新しい表現を引き出していただければ嬉しい限りです。
多くの方の応募を心からお待ちしています。
| 期間 |
7月中旬から10月上旬の間の 最大2週間程度。 |
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| 人数 | 3〜4名 | |
| 募集分野 | 芸術全般 | |
| 成果の還元 | 雲ノ平での創作活動の成果を何らかの形で雲ノ平山荘に還元してください。 | |
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「製作した作品を寄贈していただき、展示する。」 「デザインを提供していただき、 製品にする。」 「文章や音楽を発表する。」 など、話し合いの中で 様々な選択肢があると思います。 また、定期的に成果展を開催する予定です。 ぜひ企画・出展にご協力ください。 |
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| 費用の支給 |
国内 4万円 国外 応相談 |
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| その他条件 |
雲ノ平山荘に歩いて来られる方 (1泊2日のトレッキング) 山小屋の生活に対応できる方 (※詳細はお電話やメールで お尋ねください。) 活動・制作風景の撮影(当山荘のWEBサイトやSNS発信に利用)にご協力いただける方 |
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| ご自身の作品、及び活動内容が分かる資料を送付していただいた上で審査します。 | ||
| 応募期限 | 2026年5月20日(水) | |
| 応募方法 |
審査のために必要なa-cの資料をE-mailでご提出ください。 送付先:artist_in_residence @kumonodaira.com a. 応募用紙(ダウンロード用 Word, PDF ) b. 過去6か月以内に撮影された顔写真1点 c. ご自身の作品・作風がわかる資料※ (ポートフォリオや各種データ等、形式は問いません) ・提出資料は、インターネット上のリンクや画像等ではなく、ダウンロード可能なファイルでお願いします。 ※作品などの資料の実物等の送付も受け付けています。資料の返却を希望する場合には着払いで返送します。(E-mailでその旨お伝えください)また、お送りいただいた実物等は慎重に取り扱いますが、保管について責任を負いかねますのでご了承ください。 実物等の送付先: 〒238-0225 神奈川県三浦市三崎町小網代1464 雲ノ平山荘事務所 伊藤 行 |
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| 審査結果は6月10日までにお知らせします。 | ||