雲ノ平山荘の物作り|Handcraft Works

雲ノ平山荘

Handcraft Works

LPプレーヤーラック

LP Player Rack -2017-

 ふと、雲ノ平山荘にもレコードプレーヤーを置きたくなった。静かに回転するレコード盤から力強く音楽が奏でられる光景は、見る者に「(物理現象として)そこに音楽が存在すること」に対する不思議な好奇心と感動をもたらしてくれる。音もデジタル音源に比べて格段に豊かなものになる。プレーヤーを設置するラックは美しく洗練されたものが良い。ついてはこれまでの木主体の内装空間に適度な変化を与えるデザインにしよう、と考えた。木造建築にこだわりを持つとはいえ、何もかも木ばかりで埋め尽くしてしまうとメリハリがなく、もっさりとした雰囲気が蔓延してしまう。オーディオ機器の機械美と木造の内装空間の橋渡しをするようなデザインといっても良いだろう。

 文化は常に継承「歴史的アイデンティティー」と革新「絶え間ない誕生」を兼ね備えなくては、いつしか過去の「遺産」になってしまうものだ。折しも直前の冬に友人を訪ねたニューヨークで垣間見たアール・デコ~モダニズムのインテリアデザインのエッセンスを自分なりに解釈し、アイアン素材と木を組み合わせた意匠をひねり出した。鉄工部材は前年に知り合った金属工芸家の羽入直記氏に依頼して制作してもらった。木材だけでは実現できないシャープなシルエットで、かつ強度も必要十分なものになったと思う。構造材が極力目立たないように、天板の裏の鉄フレーム部は埋め込むことで、無駄な質量をそぎ落とす。最低限の質量で機能性と美しさを併せ持つことが、デザインにとって非常に重要な要素であると僕は思っている。

素材:天板:栗・フレーム:アイアン / 寸法:長1200mm×幅500mm×高700mm