
2026年9月20日より、雲ノ平サイエンスラボの第4回「Kumo Lab Week 2026」を開催いたします。
発起人が招待した各分野の研究者が雲ノ平山荘を訪れ、夕食後の食堂でレクチャーを行い、
集った人々と交流を深め、多様な視点から自然と社会をめぐる諸相を読み解きます。
今年のテーマは「生き延びるための学問」です。
日程:9/20(日)
登壇者:荒井 保明
専門分野:Interventional Radiology
日程:9/21(月)
登壇者:浦山 俊一
専門分野:RNAウイルス学、ウイルス生態学
日程:9/22(火)
登壇者:岩瀬 哲
専門分野:植物生理学
日程:9/23(水)
登壇者:相馬 融
専門分野:理科教育(生物)
日程:9/24(木)
登壇者:工藤 さくら
専門分野:宗教人類学、地域研究
日程:9/25(金)
登壇者:吉田 旭希
専門分野:生物地球化学
日程:9/26(土)
登壇者:牧田 直樹
専門分野:森の根の生態学
日程:KumoLabWeek期間中
発表者:山崎 暢子
専門分野:人類学、アフリカ地域研究
| 会場 | 雲ノ平山荘 (食堂) |
|---|---|
| 時間 | 19:30~ 20:30 |
| 参加費 | 無料 |
Kumo Lab Week 2026は登壇者を招いて講演会を行っております。
Kumo Lab Week 2026は登壇者を招いて講演会を行っております。

荒井 保明
確かにがんは身近であり、現在、日本人の2人に一人が一生のうちにがんに罹患し、4人に一人ががんで死ぬ。しかし、一番の原因は食生活でも煙草でもなく、長寿である。となると、これを「悪いこと」と考えるのは正しいのだろうか?同じように、日本の医療についてもいろいろ誤解されているようで、しばしば情緒的な情報が「大衆の心象」を煽っているようだ。一方、そんな「心象」とは別に、日本に最も差し迫った確実な未来は、「人口減少・過疎化・超高齢化」であり、一言で言えば「足りない社会」である。生き延びるためには、まずこの「足りない」ことを正しく認識することが大切ではないかと思う。
荒井 保明専門分野:Interventional Radiology/国立がん研究センター中央病院、魚沼市立小出病院
1952年生まれ。何かに熱中するまま生きてきた。ヒマラヤを含め30代までは結構山中で過ごし、何人かの仲間も失った。医者になってから熱中したのは、眼前のがん患者さんを楽にすることだった。妙な流れで、国立がん研究センターの院長も務め、僅かな数の患者さんについては、死ぬまでの時間を少し延ばすことができたかもしれないが、今回のテーマ「生き延びるための学問」とは次元が違うように思う。ただ、医療者という偏った目線からではあるが、感じてきたことは少なくない。恥を忍んで、自分の過去を紹介しつつ、何か参考になることをお伝えできたらと思う。
荒井 保明
専門分野:
Interventional Radiology
1952年生まれ。何かに熱中するまま生きてきた。ヒマラヤを含め30代までは結構山中で過ごし、何人かの仲間も失った。医者になってから熱中したのは、眼前のがん患者さんを楽にすることだった。妙な流れで、国立がん研究センターの院長も務めた。

浦山 俊一
イネの中に、病気を起こすでもなく、世代を越えて受け継がれる不思議なRNAウイルスがいます。大学院生の頃にそんな存在に出会って以来、菌類、海、温泉へと場所を変えながら、未知の「自己複製するRNA」を追いかけてきました。生命なのか、そうでないのか。その境界にいるようなRNAたちは、どのように複製し、残り続けているのか。そんな「よく分からないもの」に導かれて歩いてきた研究の道のりを紹介します。
浦山 俊一専門分野:RNAウイルス学、ウイルス生態学/筑波大学 生命環境系
大学院時代にイネに潜むRNAウイルスと出会って以来、菌類、海洋、温泉など、さまざまな場所に存在する未知のRNAウイルスや自己複製RNAを探索しています。特に、これまで知られていなかったRNAを見つけるための方法を開発しながら、既存のウイルス像から少し外れた、不思議なRNA複製体の世界を研究しています。
浦山 俊一
専門分野:
RNAウイルス学、ウイルス生態学
大学院時代にイネに潜むRNAウイルスと出会って以来、菌類、海洋、温泉など、さまざまな場所に存在する未知のRNAウイルスや自己複製RNAを探索しています。特に、これまで知られていなかったRNAを見つけるための方法を開発しながら、既存のウイルス像から少し外れた、不思議なRNA複製体の世界を研究しています。

岩瀬 哲
私は、傷ついた植物がどのように再生するのかを研究しています。植物は単離した一つの細胞からでも個体を再生することができます。植物が見せる強く美しい生命力に感嘆する日々です。本講演では、植物が見せる生き延びるための巧妙な仕組みと、植物の再生能力がもたらしてきた恩恵について紹介します。美しく厳しい大自然の中で、植物の凄さや素晴らしさをお話しできる機会に感謝し、みなさまとの新しい出会いを楽しみにしています。
岩瀬 哲専門分野:植物生理学/理化学研究所 環境資源科学研究センター 上級研究員
2005年 筑波大学大学院 生命環境科学研究科単位取得退学。博士(農学)。2005年 産業技術総合研究所博士研究員、2009年 理化学研究所基礎科学特別研究員、2012年 理化学研究所研究員を経て、2021年より理化学研究所上級研究員。専門は植物の再生、分化多能性・全能性発揮の分子機構。好きな山は、安達太良山、北岳、蝶ヶ岳、キナバル山。共著に「大人のための生物学の教科書」(講談社ブルーバックス)。
岩瀬 哲
専門分野:
植物生理学
2005年 筑波大学大学院 生命環境科学研究科単位取得退学。博士(農学)。2005年 産業技術総合研究所博士研究員、2009年 理化学研究所基礎科学特別研究員、2012年 理化学研究所研究員を経て、2021年より理化学研究所上級研究員。専門は植物の再生、分化多能性・全能性発揮の分子機構。

相馬 融
地球温暖化をはじめとする環境問題そして自然保護には、すぐにでも対応すべき喫緊の課題が山積している。教育現場においても、総合科学としての生物学と地学はこれらの問題への理論的アプローチという面で極めて重要性が高まっている。また教科・科目を超えて、例えば歴史・地理などとの連携によって理解がより深まる内容も多い。さらに第一次産業の担い手が極度に不足する国家的危機の中、農業の持つ魅力を生物学の視点から伝えていくことも今後必要である。こうした諸視点から、これからの生物教育のあり方について考えたい。
相馬 融専門分野:理科教育(生物)/芝浦工業大学柏中高等学校
東京大学教養学部教養学科 主専攻 文化人類学 副専攻 芸術 および 自然科学。筑波大学大学院教育研究科 教科教育(理科)専攻。1982年以来45年間、千葉県内の公立高校・私立高校・看護学校に奉職。著作(共著)に「大人のための生物学の教科書」(講談社ブルーバックス)。趣味は登山、料理、野菜作り、音楽(ルネサンス・バロック音楽)。
相馬 融
専門分野:
理科教育(生物)
東京大学教養学部教養学科 主専攻 文化人類学 副専攻 芸術 および 自然科学。筑波大学大学院教育研究科 教科教育(理科)専攻。1982年以来45年間、千葉県内の公立高校・私立高校・看護学校に奉職。趣味は登山、料理、野菜作り、音楽(ルネサンス・バロック音楽)。

工藤 さくら
「生きのびるための学問」とは、研究する主体(研究者)が対象を記録する(研究対象)行為という営み(研究活動)のことかもしれない。文化人類学という学問では、フィールドワークという手法をつうじて調査が行われる。自然や集団規律の厳しい環境や異文化のなかに身を置き、関係性を築きながら調査するという行為は、対象を観察する以前に、研究者自身がその場を生きのびる経験でもある。しかしこの過程は論文という完成形の背後に隠れ、外からは見えづらい。インターネットやSNSをつうじて何でも知ることができる時代においてもなお、「なぜ現地で調査をする必要があるのか」と問われるとき、記録するという行為自体が対象の消滅や忘却に抗う実践であり、研究者もまたその出来事に巻き込まれ、他人事として記録することはできなくなる。人文学もまた、社会との接点を築くことで自らの存立を問い続ける営みとして生きのびようとしている。
工藤 さくら専門分野:宗教人類学、地域研究(ネパール、トランス・ヒマラヤ)/国立民族学博物館
2019年東北大学大学院学位取得、災害科学国際研究所 災害人文学プロジェクト研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現在、国立民族学博物館・特任助教/人文知コミュニケーター併任。学生時代に内戦中のネパールへの渡航がきっかけで、「知らないことは罪だ」と感じ研究の道に進んだ。岩手山のお膝元、岩手県滝沢市生まれ。
工藤 さくら
専門分野:
宗教人類学、地域研究
2019年東北大学大学院学位取得、災害科学国際研究所 災害人文学プロジェクト研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現在、国立民族学博物館・特任助教/人文知コミュニケーター併任。学生時代に内戦中のネパールへの渡航がきっかけで、「知らないことは罪だ」と感じ研究の道に進んだ。

吉田 旭希
南極や北極といった「極地」には、厳しい環境にもかかわらず、ペンギンから氷河の上に生きる微生物まで、多様な生物が暮らしています。多くの生物は生きている間、呼吸によって二酸化炭素を放出します。これまで、冬の極地では低温のため生物の活動は非常に弱いと考えられてきました。しかし近年、冬の間も微生物などが活動し、想像以上の二酸化炭素が放出されていることが分かってきました。北極圏は二酸化炭素を吸収すると考えられてきましたが、冬季の放出を考慮すると、地球温暖化を加速させる可能性も指摘されています。本講演では、極地の生物がどのように生きているか、また、微生物に焦点を当て、彼らが極地の冬の中でどのように活動しているのかを紹介します。
吉田 旭希専門分野:生物地球化学/総合研究大学院大学(国立極地研究所)大学院生
2003年北海道生まれ。新潟大学農学部生物資源科学コースを卒業後、現在は総合研究大学院大学5年一貫制博士課程に在籍し、国立極地研究所で冬季の北極圏における陸域生態系からの二酸化炭素放出について研究している。大学時代に登山と出会い、以来5年間、北アルプスをはじめ冬山を中心にさまざまなフィールドに足を運んできた。冬山や極地のような厳しい環境で命をつなぐ生物の生命現象を探ることを目指し、研究に取り組んでいる。
吉田 旭希
専門分野:
生物地球化学
2003年北海道生まれ。新潟大学農学部生物資源科学コースを卒業後、現在は総合研究大学院大学5年一貫制博士課程に在籍し、国立極地研究所で冬季の北極圏における陸域生態系からの二酸化炭素放出について研究している。大学時代に登山と出会い、以来5年間、北アルプスをはじめ冬山を中心にさまざまなフィールドに足を運んできた。

牧田 直樹
中部山岳アルプスの厳しい風雪や薄い土壌、限られた栄養のもとで、植物はいかに生き延びているのでしょうか。地上の背丈は低くとも、足元には過酷な環境に立ち向かうダイナミックな「根っこ」の世界が広がっています。本講演では、樹木や高山植物の「細根(さいこん)」に注目。効率的な水分・養分の確保や根の生え変わり、微生物との共生など、厳しい自然を生き抜くたくましい戦略を紐解きます。足元の知られざる生存戦略を知ることで、高山の景観や植物たちの佇まいが、より一層深く見えてくるかもしれません。
牧田 直樹専門分野:森の根の生態学/信州大学理学部
1984年大阪府生まれ。京都大学大学院農学研究科修了(博士(農学))。アルプスの魅力に惹かれ、いつかアルプスで研究生活を送ることを目指していたら、運よく信州大学理学部に着任し現職。専門は森林生態学および根の生態学。日本アルプスをはじめとする高山・亜高山帯のほか、アラスカ、北欧、熱帯雨林など世界各地の多様な生態系において、自ら泥臭くスコップ片手に土を掘り、植物の根っこの機能や生存戦略のメカニズムを精力的に研究している。
牧田 直樹
専門分野:
森の根の生態学
1984年大阪府生まれ。京都大学大学院農学研究科修了(博士(農学))。アルプスの魅力に惹かれ、いつかアルプスで研究生活を送ることを目指していたら、運よく信州大学理学部に着任し現職。専門は森林生態学および根の生態学。

山崎 暢子
ウガンダ北部の開発について紹介する動画が、YouTubeなどの媒体で散見されるようになっている。地図を広げて専門書を開かずとも、AIに尋ねればその国の概要を簡単に知ることもできる。アプリの無料通話で現地とのリアルタイムの通話も可能になった。本展示では、繰り返し問われてきた「人類学者または地域研究者として情報発信する」ことの意味を考えるなかで、わざわざ現地へ赴き、点(断片的な情報)が線や面となって(文脈化されて/体得されて)立体的になる体験をすることの意義を探りたい。
山崎 暢子専門分野:人類学、アフリカ地域研究/国立民族学博物館
2021年京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科修了後、帝塚山学院大学や大阪大学での非常勤講師、アメリカ東海岸での在外研究などを経て現在、国立民族学博物館・特任助教。紛争後社会の再建に関心をもって訪れたウガンダ北部のウェスト・ナイル地方という国境地帯で、農村調査を継続してきた。農業分野の出稼ぎ者を多く輩出してきたこの地域で近年おきている都市化の特徴を、人とモノ、情報の移動に着目して追いかけている。
山崎 暢子
専門分野:
人類学、アフリカ地域研究
2021年京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科修了後、帝塚山学院大学や大阪大学での非常勤講師、アメリカ東海岸での在外研究などを経て現在、国立民族学博物館・特任助教。紛争後社会の再建に関心をもって訪れたウガンダ北部のウェスト・ナイル地方という国境地帯で、農村調査を継続してきた。