雲ノ平山荘

Kumo Lab Week 2023 登壇エッセイ

感動体験!
雲ノ平サイエンス・ラボに
参加して感じたこと

戸高 大輔

今回、雲ノ平山荘の本イベントに参加できたことは、大変素晴らしい経験として私の心に深く刻まれました。雲ノ平山荘の皆様、誘っていただいた田中さん、拙い講演を聴いてくださった皆様、並びに家族に厚く御礼を申し上げます。

私は、多くの研究者がそうであるように普段の研究成果を研究分野外の一般の方々に説明するのは重要な仕事の一つであると思っております。ですので、本イベントの依頼を受けた際には、はたして山登りに不慣れな私が雲ノ平山荘に辿り着けるのかという大きな不安があったものの謹んでお引き受けいたしました。

折立登山口へ自家用車で向かい、前日の夕方に到着。車中泊後の早朝、いざ山登りを開始しました。どうにかこうにか田中さんの待つ薬師沢小屋に到着し、とても気が楽になったものの、薬師沢小屋からのとてつもない上り坂にテンションダウン。とは言え、“何事も勝利に楽な道のりはない”ですよね、と自分に言い聞かせ歩き続けました。そして遂に雲ノ平山荘に到着!!!しかしながら、この後そこそこすぐに講演をしなければならないことを考えるとそれほど嬉しくはないような・・・。美味しい夕ご飯をご馳走になり、あれよあれよと講演会が始まる時間が近付きます。私は群発頭痛というやや珍しい頭痛持ちなのですが、ここに来るまで全く頭痛が起こらなかったことにホッとしつつも、疲労は極限状態であることに変わりはなく、不安でいっぱいいっぱいでした。しかも、田中さんが「先日の1番目の演者の阿部先生の講演はとっても盛り上がったよ~」と2番目の演者である私に余計なプレッシャーをかけてきます。そして始まりの時間になりました。聴衆の皆様は予想外に多くてますます不安になります。腹を括って話を始めます。皆様とても真剣に聞いてくださっていることがひしひしと伝わってきました。鋭い質問をたくさん頂戴しました。聴衆の皆様、本当にありがとうございました。私にとってかけがえのない素晴らしい時間でありました。

我々は、身近な物質であるエタノールを植物に投与することにより、その植物が乾燥ストレスや高温ストレスに対して強くなるという生理機構について、その作用機序の解明および実際の農業現場での実用化を見据えた研究に取り組んでおります。最近我々は、エタノールによって植物の環境ストレス耐性を向上させるこの技術に対して名前を付けました。Ethanol-based Global Agricultural Optimization、略してEGAOです。今回のイベントを通じ、いろいろな方々から気候変動の影響は高山地帯においても発生しているということを伺いました。我々の研究成果は高山地帯においても役立つかもしれません。EGAOによって皆様が笑顔になることを願ってこれからも研究を一層進めていければと思っております。なお、詳しい研究内容は我々の研究室のHPに掲載しておりますのでご興味のある方はぜひご覧ください。

講演翌日の早朝は大雨でした。雨具をお借りしたり、膝のテーピングをわざわざしていただいたりと大変お世話になりました。どちらも大変効果がございました。ありがとうございました。帰路では昨夜の聴衆の皆様が私に沢山お声をかけてくださり、楽しく折立口まで下りることができました。その後無事に帰宅しました。

昨今の流れとして、オンラインでの会議が増えました。オンラインはそれはそれで良さがありますが、人と人が直接会って交流する時間もやはり重要であると思います。それは今回のイベントを通じてより一層強く実感いたしました。雲ノ平山荘での学術交流会は、いわばオンライン交流会とは究極的に対極です。とっても大変でした。ですが、帰宅した時の充実感は絶大でした。ぜひとも継続して開催され盛り上がっていくことを切に願っております。

  • 戸高 大輔

    戸高 大輔専門分野:植物学

    2003年、東京農工大学大学院連合農学研究科博士後期課程修了. 国際農林水産業研究センター(JIRCAS)にてポスドク、東京大学農学部応用生命化学専攻にて特任助教、特任准教授としてイネを対象とした環境ストレス応答に関する研究に取り組む. 2年半前より理化学研究所環境資源科学研究センターに移り研究員としてシロイヌナズナ、トマト、コムギ、シバなどを用いて環境ストレス耐性を高める栽培技術の研究に従事している.

    戸高 大輔

    戸高 大輔

    専門分野:
    植物学

    2003年、東京農工大学大学院連合農学研究科博士後期課程修了. 国際農林水産業研究センター(JIRCAS)にてポスドク、東京大学農学部応用生命化学専攻にて特任助教、特任准教授としてイネを対象とした環境ストレス応答に関する研究に取り組む. 2年半前より理化学研究所環境資源科学研究センターに移り研究員としてシロイヌナズナ、トマト、コムギ、シバなどを用いて環境ストレス耐性を高める栽培技術の研究に従事している.