加々見 太地|Taichi Kagami

雲ノ平山荘

加々見 太地|Taichi Kagami

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【加々見太地さんの仕事】

はじめて加々見さんのポートフォリオに目を通した時の衝撃は忘れられない。
その作品群は力強く緻密な表現性に満ちていて、20代の若者が生み出しているとは思えない、明確な世界観に裏打ちされていた。
彼は彫刻作品を発表する傍らで、本格的な登山活動も展開しており、登山の経験から得られた自然界の肌触りを自らの芸術表現に落とし込むことによって、「自然」⇄「アート」、「外的な世界」⇄「内的な世界」双方向の旅を深めている。
過酷な山行で感じる痛みや開放感、自由や限界を、直に木材(という生命)に刻み込むことで浮かび上がるもの。それは、意志と本能の狭間にある根元的な「人間存在」に対する思索へと連なって行く。
「彫刻作品は他の表現分野に増して、完成した後は作者の個人性や人格を離れ、世界の景色の一部として自律的な存在になることが面白い」と彼は語る。
今回の山荘滞在で生み出された「旅人」の彫像も、自然物としての「木」から始まり、45kgにも及ぶ木塊の運搬という肉体的な体験、ゼロから作品をイメージする想像力、木を刻む技術的プロセス、完成後はまた作者を離れ、自律的な物体として自然に戻るという、内界と外界を行き来するストーリーこそが、一つのサイクルを成す作品である。
自然から人間が生まれ、人間が自然を発見するというのは、果たしてどういうことなのだろうか。
原野に解き放たれた「旅人」は、どのような物語を人々に届けるだろう。
彼の、山と人間、芸術をめぐる旅路が、これからいかなる軌道を描いていくのか、乞うご期待である。
※動画中の木材は登山道上に倒れた風倒木の撤去作業の副産物であり、その一部が彫刻になった。

(文:伊藤二朗 撮影:森田友希、赤錆健二 編集:赤錆健二)

Artwork

tabibito

Taichi Kagami

1993年 神奈川県生まれ
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了

自身の身体で感じた世界や自然を通して、彫刻や写真を発表している。
登山活動にも力を入れており、ヒマラヤやアラスカでの登山を経験。人と自然との積極的な関わりに関心を持ち、自身の強烈な自然体験や、その周縁の文化や歴史を制作のテーマとしている。
公益社団法人日本山岳会創立120周年記念事業ヒマラヤキャンプメンバー。東京藝術大学COI拠点特任助手。


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