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雲ノ平山荘

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【soarさんの仕事】

「五感で感じる世界の素晴らしさを表現したい」
Soarさんの描く山の絵は、鮮やかで深い色彩の奔流のようだ。
大学で美術を学んだ後、就職後はしばらく絵を描くことから離れていた彼女を、再び芸術の世界に引き戻したのは、同年代の友人の死と肉親の病気だったという。
「自分の生きる使命は何だろう?と考える様になり、自分にしか出来ない何かを残したいと思った。」
絵画表現の再スタートは、おのずから彼女が愛するアウトドアスポーツの世界と重なり合い、一つの世界観を醸成していくことになる。
「その時々で変わる山の景色、力強さを感じる海、草花や木々の匂い、田畑の食物を食べた時。自然と関わる事で様々な感動が生まれます。人と自然は必然として繋がっていて、その中で暮らしがあって、遊びがある。」それを表現したいのだと。

今回彼女が取り組んだのは、壮大なステンドグラスのような「山地図」の制作である。地図とはいっても一見してそれとわかるものではなく、旅の憧れや感動、現実に見る景色や季節の移ろいを絵画として織り込んだファンタジーの地図である。市販の印刷物を素材に、抽象化した緻密な下絵を出発前に描き、山荘で現実に感じた世界を一つ、また一つと色彩として塗り込んでいく。旅人が、足を踏み出すごとに世界の内奥に入り込んでいくように、彼女は色を塗り重ねることで、世界と一体化して行く。裏銀座を歩き鷲羽岳を通過し、水晶岳に登り、黒部源流を渡り、雲ノ平でまどろみ、黒部五郎を遠望し、いつしか季節は移ろい…世界が彼女の中で折り重なっていく。
来る日も来る日も、夜更けまで作画を続けるその姿からは、計り知れない情念を感じさせられる。アーティストたちの内なる旅を追体験することで、僕たちは、時に全く予期せぬ世界の情景に出会い、心に新しい炎が灯される。それは純粋に、人が人であることの奇跡なのだと、改めて感じさせられる。
さて、この地図を読み解けば、僕たちはどこに誘われるだろうか。

(文:伊藤二朗 撮影:森田友希、赤錆健二 編集:赤錆健二)

Artwork

Journey

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1980年 兵庫県生まれ。

京都嵯峨美術短期大学卒業後、建築関係の会社に就職。2018年soar(ソア)という名前で絵を描く事を始める。
SNSテキスタイルデザインコンペサイトにて数々の作品が入選し商品化。「OZの女子旅EXPO」日本のローカルスタンダード公募展では「長野県」として参加。OZマガジン11月号に掲載。

登山、スノーボードなどのアウトドアスポーツを通じて自然の中で感じる五感の素晴らしさに感動し、描くことで自然と人との関わりがさらに深い繋がりになることを思い「自然と人」との暮らし・遊びをテーマに模様の要素を取り入れた自然風景を描いている。


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